さばいばりずむ

21世紀をサバイバルする為、登山、渓流釣り、米国株インデックス、米国株ETFやってます。多肉植物と静かに暮らすのが夢です。

【書評】世界に絶望している社畜にオススメの1冊『ザ・ロード』

春の訪れを感じる今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょか(´・ω・`)

すでにお正月も遥か昔。強烈な寒波が来たりもしましたが、なんだかんだで暖かい冬だった気がします。現代社会では水や食料の心配もいらず、寒さに凍えることもなく、自由に陽の光を浴びることができます。

この本はそんな現代社会とはまるで異なる、文明崩壊後の世界を旅する父と子を描いたディストピア系ロードノベルです。ピューリッツァー賞を受賞してます。

ザ・ロード

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

 

何故、世界が終わってしまったのか?その理由が本書で語られることはありません。空は一面、灰色の雲で覆われ、動植物は死に絶え、荒涼とした生命感の無い冬の世界が広がっています。核戦争や異常気象、大規模災害などがあったのかも知れません。

そんな世界で厳しい冬を越すために主人公の父子は温暖だと思われる南を目指します。全編を通して描かれるのは水や食料の不足、凍てつく寒さ、そして食人を厭わない僅かに生き残った人間たち…

動植物が死に絶え、陽の光も差さないこの世界では生き残った少数の人間でさえ、食糧として描かれます。他の人間を捕らえ、自分が生き残る為に、その肉で細々と命を繋ぎます。その様が重々しく、残酷に描かれます。

だけれど、主人公の父子は決して食人をしません。殺し、奪い、喰らうだけの世界になってしまっても自分たちは『善い者』であり『火を運ぶ者』だからと… 父は子に正しく人間らしく生きることを説きます。その一方で子を守る為ならば、他の人間を見捨てたりもします。そんな父に矛盾を感じなからも、子は他の人間に食糧を分け与えたり、自分たちの物資を奪った略奪者を許すよう父に掛け合ったりします…

これは神なき世界を生きる父子の物語です。内容は終末世界を描く残酷なものですが、どこか宗教的で詩的な美しさがあります。読点の無い独特の文体や、主人公である父子の名前が出てこなかったりするのが、そういった雰囲気を醸し出しているのかも知れません。

美しきディストピア小説です(`・ω・´;)